小生がまだ開業したてのちんぴら歯科医だったころ、歯科医師会を牛耳っていたのはT歯科大卒のお歴々だった。気に入らない開業医を保険指導や税務指導で痛めつけると言う噂もあったくらいだから今の日大の田中理事長並みのお力(笑)。そのころ同じ大学卒だがそれに対抗するお方がいた。特攻隊の生き残りと言う噂もあったくらいだから凛として背筋の伸びた男らしい九州男児であったように記憶している。

いくたびかの挑戦の後で念願かない会長に就任してまもなく、日曜の東京駅で見かけたことがあった。何か歯科医師会の仕事で上京して帰るところだった。その日は夏の猛暑で半袖でも汗が噴き出てくる夕方で、列車を待つその方は流れる汗を拭こうともせずきちんとネクタイを締め背広姿でホームに立っていた。開業医としての半生を障害児の治療にささげ家庭を顧みなかったその方はおよそ強欲な歯科医師像とは遠くかけ離れた方だった。残念ながらその後しばらくして亡くなってしまったが、今でもふとその方を思い出すとき”叶わないなあ”とため息が出るのです。

偉人は身近にいるのです。