正月はゆっくりクラシックのレコードを聴いて過ごしました。

聴いていたのはバッハの平均率とショパンのノクターン等のソナタ集でいずれも長い曲。

演奏者は旧ソ連の名手アレクシス・フェインベルクとアンドレイ・ワゾフスキーで、日本では全く無名の存在ですが、その実力は一聴歴然の大ピアニストです。

鉄のカーテンの向こうでは国家が威信をかけてクラシックの芸術家を育てていたのです。

モスクワ音楽院ではリスト直系の教授たちが優秀な弟子たちを育て上げておりました。

共産主義の大本山ソ連が崩壊して今まで謎のベールに包まれていたこれら大演奏家が晩年の演奏ですが近年レコードで次々と我々の前に現れてきました。

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アナトリー・ヴェデルニコフとサムイル・フェインベルク

日本のデンオンがヴェデルニコフの全集を出した時もクラシック愛好家は仰天したものです。

あらゆる作曲家の作品をこれほどまでに作品の本質にまるで魂が乗り移ったかのように!

演奏する。ベートーベンでもショパンでも作曲家本人以上に弾く!?

その年のレコードアカデミー大賞を受賞したのは当然の出来事でした。
以前東側の演奏家のレコードばかりを扱う中古レコード店と付き合いがありました。

これはぜひ聞いてみてくださいと寄こされたものにフェインベルクはあったのです。

それまでバッハの平均率と言えばリヒテルやヴァルヒャそれにレオンハルトのものが聖典でした。

それに比べてフェインベルクのものは何という演奏でしょう。

天馬空を行くと言えばいいのでしょうか。聴いていると天国に遊ぶ境地です。
私が今一番世界で上手なバイオリニストだと思っている演奏家に旧東独のカール・ズスケがいます。

この人にどうしてそんなに上手なのかと聞いたら”ベートーベンの時代と同じ教育を受けたから”

と答えたそうです。
ソ連が崩壊して素晴らしい演奏家たちは世界中に散りじりになりました。

もうかつての国家が威信をかけて名手を作り上げたシステムは存在しません。

文化というものは本当にお金のかかるものなのですね。
パンダより仙台に本格的なクラシックホールを!

みんなで声を上げましょう。