30数年診療していますといろんな患者さんがおいでになります。

お金はいくらかかってもいいから最高の治療をしてくれ!と言う人はめったにお目にかかりませんが、インプラントが保険でできると思っている方もなかにはおられます。

日本の健康保険は国民皆保険で先進国の中でもましなほうですが先端医療や保険外の材料を使うと途端に高額な費用が発生いたします。

日本の医療は保険と自費の複雑な絡み合いで成り立っているのです。

歯科医師の理想は一人の患者さんの口腔を歯肉から歯、そしてかみ合わせまですべて統合した医療を施せればと思うのですが現実はそうもいきません。

たいていは悪いとこだけ直してと言うのが患者さんのご希望だからです。

卒業した東北大学では一口腔単位の治療と言うのを徹底して教えこまれました。

悪い歯だけ直してもその原因が無くならなければ再発は明らかだからです。

学生の時に見せられたスライドでショックだったのは3年前にきれいにレジン充填した歯が再来時にすべて虫歯で残痕しか残っていないすさまじい症例でした。

これは虫歯になりやすい食生活やブラッシングの誤りを修正しないでおいたせいです。

それが教授の患者さんだったのでなおさら驚きました。

尊敬する教授は定年退官後にすべてインプラントで治療して差し上げました。

御自身の歯がすべて虫歯と歯周病で駄目になってしまったからです。

教授ご自身は一口腔単位の治療を受けておられなかったのか・・・・

と思うとなんだかおかしいやら悲しいやらで複雑な気持ちでした。