音楽にはリズム・メロディー・ハーモニーの三要素があると小学生のころに教わったが文章にも似たようなものが確かにあると子供のころから感じていた。

小学生のころ母に毎月買ってもらっていた講談社世界文学全集は世界中の良い小説を作家別に分厚い本に編集したもので訳や監修は川端康成や志賀直哉のような当代随一の小説家が担っており翻訳ものと言っても素晴らしい日本語のリズムで訳されていた。

だから子供の自分が読んでも全く違和感なく小説の世界に飛び込むことが出来、小説を読むが好きになったのだと当時の編集者にいまでは深く感謝している。

ヴィクトル・ユゴーの畢生の大作”ああ無情”は子供の自分が読むには大層な頁数であったが、主人公ジャンバルジャンとそれを追うジャベル警部とのドキドキする展開にフランス革命が加わった壮大な物語を最後まで飽きさせずに読了させたのはひとえに訳者の力量に他ならないと今でも思う。

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毎月一冊出るのが楽しみだった講談社の少年少女世界文学全集。
ギリシャ神話から日本の童話まで幅広く集められ小生のような”ど田舎”の子供の教養を広げるのに偉大な貢献をした、と思う。実家においていたら泥棒に入られて盗まれてしまったのはかえすがえすも残念。

解説で原題はレ・ミゼラブルといって「みじめな人々」という意味なのだとあったのを未だに覚えているから読み終わってよほど感激したのであろう。

大学に入って教養部でフランス語を選択したが本の厚さに気後れしてついに原文で読むには至らなかった。

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レ・ミゼラブル刊行当時のコゼットの挿絵

さて昨今の村上春樹ブームであるが、何やら出版不況の世の中でジャズ喫茶の親父上がりのこの人だけが異例に売れているという。

若い時に呼んでその生煮えな翻訳調の日本語に辟易して数ページ読んだだけで投げ出してしまったそんな記憶があるので小生には世の中のブームがとんと理解できない。

文学賞の選考委員会でも最初は選考委員が小生と同じ意見を持ったらしく無視されていたらしいが時代が進んで気にしない読者が増えて今では花形作家になったようだ。

小生は前にも書いたが作家ではTBSのディレクターをやっていた久世光彦が一番好きで、この人の文章には音楽で言うリズム・メロディー・ハーモニーの三要素がすべて入っていると勝手に自分では思っている。

きっと彼も子供のころに良い小説をたくさん読んだのだろうと想像しているが残念なことにとうに鬼籍に入られたのでうかがうこともままならないのが残念である。

今日も気持ちの悪い患者さまに会いませぬように(笑)。