インプラントの世界で一番問題になっているのがインプラント周囲炎であることは論をまたないが、そこでよく議論されるのが最初のブローネマルクインプラントは機械研磨だったからインプラント周囲炎に強いという話だ。

確かに自分の症例を見ても長くお見えにならなかった患者さんが来てレントゲンを撮ったときなど全くインプラント周囲の骨吸収が見られないことが多く真実の一部を言い当てている気もする。

ヨーロッパインプラント学会の機関誌にも最近昔のブローネマルクに戻れという一流研究者からの投稿が載って皆を驚かせている。

どうして機械研磨のインプラントが廃れたのかはひとえに柔らかい上顎骨に対する信頼感が低かったことにある。

素晴らしい成功率の下顎に比べ、明らかに上顎は成功率が低かった。

だから研究者は柔らかい骨にもよくつくように表面をざらざらに加工した。

これはどぶ川に刺した棒杭のことを考えれば簡単で流れる川は血流で棒杭はインプラントとみなせる。

血流は凄い勢いなので骨組織やら線維組織は突き出た物体の表面に容易にからみつく。

つるつるの機械研磨の表面にはなかなか張りつかない骨組織や粘着性のコラーゲンも

表面を加工しガサガサにした面なら容易に付着できることが分かる。

だから今やインプラントから25日で上部構造が装着できるといううたい文句の製品まで出ているが真実は闇のなかだ。

気をつけよう甘い文句と暗い道(笑)。

20150304_mechanical_polishing-01

著しい骨吸収が観察された機械研磨型インプラント。左下6番部は撤去が必要だが上部構造がスクリュー固定なので容易に撤去出来る。よく見ると右下7番部もわずかに吸収しておりワイドタイプのせいかもしれない。ワイドタイプのインプラントは埋入時に骨に強い力がかかるので皮質骨が損傷を受けやすいと言われる。

小生は長いことハイブリッドタイプの3iオッセオタイトインプラントを使い良い成績を上げてきた。

歯肉に近い部分は機械研磨で深い部分は酸エッチングして骨の付着が良いものでこれは開発者のドクターラザーラが歯周病学者だったためインプラント周囲炎をよく考慮して作られていた。

最近は全部オッセオタイト処理としてありこれでも成功率は変わらないとうたっている。

さて最近お見えになった患者さんですべて機械研磨インプラントが入っているのにインプラント周囲炎で一部に深刻な骨吸収を観察する方がいた。

これなどはどう解釈したらいいのか途方に暮れる。

残った歯が歯周病でどうしようもなくなったのを見てもプラークコントロールが悪かったであろうことは類推できるが、機械研磨タイプと言っただけではインプラントの術後は単純に決められないことがわかって興味深い。

震災後にしばらく定期検診に行っていなかったということなのでそこら辺に理由はありそうだがはっきりしたことはわからない。

いずれにしてもインプラントは生きた変化する生体を対象にしているのでこれで絶対に大丈夫だなどとは口が裂けても言えないことだけはわかるようだ。

最近メーカーで一生保証しますなどと言うところも出てきたが、それは有体に行って自分で自分の首を絞めること。

せいぜい5年が良いところではないかと個人的には思う。

それでも当院は10年までは無償で対応するが時として違うメーカーのものが優れていることがありそちらに替える場合は医院の持ち出しになるので零細歯科医院には結構な負担になっているのではと推察しているがいかがなものでしょう。