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昨日東京のブリジストン美術館で青木繁展を見てきました。

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                                海の幸

青木繁は、明治の初めに上野の美術学校(現在の東京芸術大学)を出て”海の幸”で衝撃的な画壇デビューを果たしたあと貧困にあえぎ、九州を放浪した揚句に28歳という若さで結核で亡くなった画家です。

”海の幸”は美術の教科書に載っていますね。また小学校の教室に貼ってあったのを思い出しました。

長寿を全うしていればさぞや素晴らしい仕事を残した画家だったろうと思われますが、天はそのわずかな画業人生に幾点かの傑作を残させることで永遠の名声を授けたのです。

代表作の海の幸は、今しがた捕れた大きな魚を担いだ幾人かの漁師が赤銅色の裸身を惜しげもなく夕日の中にさらし大漁の喜びに沸く浜の様子を力強いタッチで描いた作品です。

この作品は実は未完成でそれを展覧会に出展したのですが意に反して大評判になりました。

その後は印象派のタッチをまねたり様々な試行錯誤をしながら結局中央画壇には無視されて実家の没落もあり貧困のうちにその短い生涯を終えたのでした。

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                               朝日

九州放浪時代の絵は暗く陰鬱で親しみやすいものではありませんでしたが絶筆となった”朝日”は素晴らしい絵です。

水平線のかなたに上ってくる朝日を描いたものですがなんとも穏やかな茜色の空は夕日といってもいい色調です。

まるで印象派の絵のように光が複雑に絡み合いこの世のものとは思えないような絵です。

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                              布良の海

死の直前に完成されたこの絵からはすべてを諦観して黄泉の国に旅立とうとする一人の青年の意思が感じられます。

絵はやはり”個人の心象風景”であることを改めて確認しました。

ゴッホの自画像を見た時も本物は美術の本に載っているのとは全く異なって荒々しいまでの鮮やかな色調に驚かされたものです。

死を前にして画家はこの世に意志の限りを尽くして何かを残そうとするのでしょう。

本当に感動的な体験でした。
「虎は死して皮を残す。人は死して名を残す。」

そんな人生を生きられたらどんなに素晴らしいことでしょうね。