一昨年惜しくも亡くなった渡部昇一先生の残された講演を車の中で聴いています。

先生は貧しい農家の生まれでしたが勉強が極めてでき優秀な生徒でした。戦後に当時はだれも名前も知らない5流大学の上智大学に入学しましたが、これには訳がありました。

鶴岡中学の旅順工科大学を出て日本の事情に疎い進学担当の先生が、焼け跡の東京を延々と歩いて各大学の様子を見てきたら上智大学だけが卑しくなかったそうです。要するに寄付金をよこせとかいうことを言わなかったのだそうです。

鶴岡中学始まって以来の天才と言われた先生ですから東京大学にも入れたと思いますが、その先生の言うことを聞いて上智以外は受けなかったそうです。

それでも貧しい家庭だったので奨学金の他にも授業料を免除してもらわなければいけませんでした。そのためには一番にならなければいけません。

すると人を蹴落としたり嫌な感情がわいてきます。それを防ぐために先生は全教科100点を取ればいいと思いました。これなら自動的に一番になれる。

それで朝5時に起きて大学の井戸から水を汲み頭からそれをかぶって一心不乱に勉強したそうです。その結果ずっと一番で通してめでたく授業料は免除され、貧しい食事で我慢をしながら浮いたお金で本を買い勉強したと。

成績が一番ならアメリカの大学に留学できましたが、いつもみすぼらしい格好をしていて社交的ではなかったので審査ではねられ挫折を味わいました。

しかし次の年にたまたまドイツ語の試験の前日に古本屋で買ったドイツ語の本の中の単語が出てきて見事に合格してドイツへの留学資格を得たそうですからわからないものです。

このときもドイツ語の辞書を引くのが大変だと思い英語の本と同じものでドイツ語訳のものを古本屋で買い勉強していたのが役に立ちました。

自分を戒め鍛錬を怠らなければ道は自然に開けてくるということでしょう。誰もが見習わなければいけないことだと思います。