10月5日から7日までスペインのマドリッドで行われたEAOヨーロッパインプラント学会から帰りました。学会場は空港からほど近い場所にある巨大なコンベンション施設でその第9棟で行われました。私は周囲に何もない近くのホテルは避け、市内の目抜き通りにあるホテルを予約し学会場には毎日タクシーで通いました。

スペインはその昔、大航海時代に世界中に植民地を持ち、世界中から富を収奪して作り上げた国です。恐らく街の作りとしては世界で一番立派でしょう。巨大な石造りの建物が我々を圧倒します。でも国民性は怠惰で適当。昼休みを以前は3時間も取っていたとか。今は法律で昼の休みがその半分になったので子供の数がひどく減少したそうです(笑)。日本も昼休みを3時間にしたら子供の数が増えそうです。

学会はメイン会場がいくつもありどこで話を聞いたらいいのか戸惑うばかりでしたが、いくつか選び聞いてきました。その中に「無歯顎患者のインプラント治療で悪夢を見ないためには」というセクションがありこれにはその題名も凄いのですが大いに参考になりました。チェアマンはスイスのクリストフ・ヘンメル教授。バイオオスの研究などで大変に高名なヨーロッパを代表する研究者です。発表者は二人で一人は最新のジオルコニアを使用した極めて硬い材料を使って作ったインプラントの上部構造で、数年間の観察経過では破損はゼロであるとし、もう一人はコバルトクロム合金を使った上部構造でこちらも問題はないと。ただしジルコニアはまだプロトタイプのモノブロックで市販はされていないとのこと。インプラントの上部構造で一番厄介なのは欠けたり壊れたりすることですが、これはインプラントが骨に直接インテグレーションするため天然歯の歯根膜のような緩圧性を持たないことにおもに起因します。噛んだときにガツンとくるのですね。歯根膜はおよそ110ミクロンの動きがあるので天然歯は堅い物を噛んでも歯が動き、力から逃げることができるのです。これがインプラントの最大の欠点です。

ジルコニアの上部構造は私どものところでも昨年から採用していますが従来の金合金にセラミックを焼き付けたものに比べて非常に軽くまた硬い丈夫なものです。これからの主流になることは間違いありません。コンピューターの発達でインプラントの治療は設計から上部構造まで非常に精密にできるようになりました。日本の保険診療のクラウンや義歯はまだ人が手作業で作る精度の悪い物ですが、いずれすべて機械が作る精密で金属を使用しないものに替わるでしょう。あと10年もしたら歯科技工士の仕事は無くなるかもしれません。歯科医療はますます省力化へと突き進んでいくのです。年をとっても歯科医師が仕事をいつまでもできる時代が来ているのです。ありがたいことです(笑)。

広い会場を埋め尽くす凄い人に驚きました。今回は日本人はほとんど見かけませんでした。

今年度のeao役員のみなさん。いかにもラテン系のお顔です。

スイスのクリストフ・ヘンメル教授は人工骨の研究者として有名です。

業者のブースではたくさんのメーカーが出展していました。

ノーベルバイオケアのブースで新しい補綴の紹介がありました。

学会の発表

スペインの学会が終わりミラノのスカラ座に行きました。

近くにミラノの大聖堂があります。ゴシック建築の集大成でそれは豪華絢爛です。

上までえっちらおっちら登りました。心臓がバクバクです。

ミラノ郊外を向こうのロータリアンのマハスティさんが案内してくださいました。彼女はイラン出身で内面の自由を求めてパリ大学に行き、その時出会ったイタリア人のご主人とミラノに住んでいます。トヨタ車に20年のっている極めて聡明な女性で、フランス語、英語、イタリア語が完璧です。メールをたくさんくれます。博士号を持ち世界中のクライアントの様々な相談に乗っています。