お正月に送られてきたEAO(欧州オッセオインテグレーション学会)のInspyredという雑誌を見ていたらおもしろい論文が載っていたのでご紹介する。

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EAOの雑誌”インスパイアード”は刺激的な内容で毎回楽しませていただいています。

論文は66歳の女性で、患者に二本のインプラントで支持する取り外し式のインプラント義歯を装着したお話し。

全顎的にひどい歯周病で歯が次々に自然脱落し、残った歯も風前のともしびで来院したヘビースモーカーの女性。

66歳という年齢から自分で脱着しやすいインプラント義歯を設計し装着したがその後がよろしくないという。

インプラントのアタッチメントにプラークや歯石が溜まりすぐに義歯が合わなくなってしまうという訴えがあり、今まで信じられてきたMcGillのコンセンサスはどうも違うようだという結論に至ったという。

結局老人とは言え自分で管理しやすいのは入れ歯ではなく多数歯を入れた固定式のブリッジで、あたかも自分の歯のような補綴物の方が管理する方が患者にはずっといいようだと結論で述べていた。

これから、下顎のアタッチメント義歯は成功率がほぼ100%で安心だと言われてきたがそれは間違いで、取り外さないブリッジの方がずっといいようだと言う結論が導き出される。

自分の症例を見ても脱着式のものは中のクリップやアタッチメントが思いのほか早く壊れたり義歯の下の骨が吸収したりで改修が必要になり、長く維持するには結構手間がかかる。

その点固定式のブリッジは一度装着してしまえばあとは普通に歯ブラシで管理してもらえばいいだけなので患者もそれがあたかも自分の歯のようでほとんど違和感を訴えない。

勝負は圧倒的にブリッジの勝ちとなっている。

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ノルウェーで開業のNiklas.K.O.Angelus氏の論文では無歯顎へのインプラント療法で、McGillコンセンサスは常に最良の選択とは言えないのではと疑問を呈している。自己管理を考慮すればやはり入れ歯よりはブリッジのようです。

もちろん脱着式の方がインプラントの本数は少なく費用は抑えられるが違和感や頻回の修理を考えると決して第一選択にはしたくない。

それでも骨吸収が大きく顔貌の変形が見られる患者にはどうしても歯肉の再建が必要なので義歯タイプの選択は考えられるがそれも歯肉付きのブリッジで最近は解決可能になった。

診断技術や材料の進化で一昔前には考えられないほどインプラント補綴は変わってきているのだ。

医療者側にはますますの勉強が求められていることは間違いない。