だいぶ前にポルトガルのリスボンで開業しているDr.マロの考案したたった4本のインプラントで即日に歯が入るという患者には夢のような治療All-On-Four。
医療側にも患者側にもメリットが多いともてはやされあっという間に世界中に普及した。
患者にすれば何よりすぐ固定式の歯が入るし、インプラントの本数が少ないので費用も少ない。

また原則として歯肉をくりぬき切開して大きく開かないので出血や術後の痛みも極小。
歯科医師にとっても設計して出来上がってきた外科用のガイドを使えばあっという間に手術は終わり術後のレントゲン像は左右対称の素晴らしい出来栄えで名医になったかと錯覚するほど(笑)。

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               術後3カ月で下顎最終上部構造が装着されました。

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                 スクリュー固定なので修理が簡単にできます。

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オールオンフォーに限らずインプラント治療成功のカギを握るのはインプラント周囲の付着歯肉の存在です。
日本で最初にマロのところに行き帰ってきてすぐさま応用したのは九州の熊本で御開業の中村社綱先生だった。

最初は眉唾ものだと思ったらしいが何人かの弟子たちと工夫に工夫を重ねた結果、今やほとんど失敗はなくなったと先日伺った熊本の講習会でも述べておられた。

不肖小生のところでも先生の教えを忠実に守っているおかげで今のところ失敗はない。

これはきちんとした設計と確実な手術技量、そしてよく理解した技工士がいて初めてうまくいくもので、今までインプラントをやったこともない歯科医師が急に外科用キットを買ってすぐにうまくいくほど甘くはない。

骨質によってはすぐに噛ませずに待時法に切り替える勇気や決断も必要だし、使用するインプラントの性質をよく理解して荷重をどの辺に置くかを患者の部位ごとに臨機応変に変えねばならない。

結構難しいのだ。
だから初心者が金もうけのために飛び着けば必ず痛い目に逢うことは必定で、患者の信用は一夜にしてガタ落ちということになりもう二度と近付かないということになりかねない。

設計には細心の注意を払い力学的条件を十分に鑑みねばならないので、メーカーであるノーベルバイオケア社では中村先生を中心として数名の歯科医師を選択しプランニング教室を開催している。小生も恥ずかしながらその一人で末席をけがしている。
小生はバイオメット3i社とノーベルバイオケア社の製品を主に使用しているので勉強会ではどちらも症例に応じ使い分けをしてうまくいくように指導させていただいている。

もちろんオールオンフォーではノーベルの製品を使用して約束どおりの手術を心がけている。

自己流は禁物だ。
今月も27日にNobelGuide Planning教室があるので最近やったオールオンフォーの注意点をまとめて受講者の先生方にお話しする予定で、やればやるほどスキルも向上するし問題点もあらわになっている。
最初3iでインプラントに入ってきたアカデミーの先生方も最近ではガイド治療の素晴らしさに目覚め症例によってノーベルと3iの使い分けをしているようだ。

治療は患者の幸せに直結するので別に特定のメーカーに義理立てせず最新の最も優れた治療法を選択すればよいと思う。
その昔アメリカの学会でHAインプラントを知り日本に帰ってきてさんざんやったこともあったが、その後あらわになったインプラント周囲炎の問題は時間をおくにつれ増大するといわれており現在世界でやられているのはほぼ日本だけ。もちろん小生もとっくにやめて久しい。

3iのナノタイトはHAの欠点を改良したといわれているがオッセオタイト表面に張り付けたHAのために表面性情が滑らかなので長期的にはよくわからない。

いつもアンテナを張って世界の動きを追う繊細な精神が必要だと痛感している。
これから何年臨床医として活躍できるかわからないが早く本当に理想のインプラントに出会いたいといつも感じている。