若い時に歯周病の勉強に行ったスウェーデンのイエテボリ大学では同じ敷地内でインプラントの壮大なプロジェクトが進行していました。かたや歯磨きをはじめとする口腔内清掃指導で歯周病を撲滅し、自分の歯をとことんまで残してやろうという研究に対し、希望のない歯を抜歯してきちんと噛めるインプラントの歯を作ろうという研究ですから当初は折り合いが悪かったでしょう。でも長い間に様々な研究結果が出て両者は折り合うことに成功しました。

歯周病で世界一の名声を獲得したヤーン・リンデ教授がアメリカインプラント学会に来て自分の過去の治療計画にバツ印をつけたのです。教科書で見慣れたその患者の治療計画は過去のものとなった瞬間でした。学会の大勢の観衆は歓声を上げました。時代が変わったと。

それから半年後仙台歯科医師会の講演会にくだんの教授が来て半年前にバツ印をつけた歯周病の治療計画書をまだ出していたのには驚きました。日本人はなめられている。講演後の懇親会で学術委員長だった私は、さっそく教授に近寄り言いました。あなたはアメリカインプラント学会でその計画は間違っていたといいましたよね。教授は黙って私の前から去っていきました。

今から20年前の出来事です。