テレビはアナログ放送が終わってすべてデジタルに移行してしまったが、音楽の世界では面白いことに再びアナログに戻ってきている。レコードプレーヤーが売れているのだ。

1982年に発売されたCDはレコードと違い嵩張らず軽く、減ることも無いことから瞬く間に音楽メディアの主流へと駆け上って行った。

何万枚とレコードを持っていた人たちが一斉に中古屋に売り払いCDに替えたのを知っている。

しかし手軽さと引き換えにその再生する音は哀れなひずみっぽく痩せた音だった。

評論家はあらゆる点でデジタルはアナログに勝ると雑誌に文章を乗せていたが、街のオーディオマニアたちは一様に変な音だねと言っていたものだった。

いつまでも変わらないと思われていたCDのポリカーボネートは実は水気に弱く白濁して20~30年もするとCDプレーヤーが読み取れなくなるし、いろいろ手段を講じてもせいぜい80年と言うことが最近分かってきた。

そこで今度は回転機器を使わないネット配信やらハードディスクに記憶させるハイレゾが最近の主流になった。

でも再生帯域を意図的に拡大したハイレゾ音楽は何となく薄っぺらで気に入らない。

英国製の最高級機器を買ってはみたが結局お蔵入りになってしまったのは残念至極。

また騙されたか。

先日なじみのオーディオ店が、「先生新しいカートリッジを聞いてみてください。」と言ってドイツ製のアナログレコード再生用の金色に光るカートリッジを持ってきた。

さっそくギトリスとアルゲリッチの弾くフランクのバイオリンソナタのレコードのイタリア盤をかけてみた。

そうすると耳に飛び込んできたのはレコードの溝から全ての音符を引き剥がしたような、実に生々しい、いや、事によると生以上の音だった。これには一同頭を垂れた。

その後次々とレコードをかけ替えたがどれも今までに聴いたことのないようなみずみずしく生気にあふれた音であった。

早速注文したが入荷は2カ月先らしい。

ドイツの職人が一人で作っているらしくなかなか日本には入ってこない模様です。

デジタルは音楽信号を階段で分割して記録する媒体です。だから信号は永遠にギザギザとも言える。

ところがアナログはもちろん切れ目がないから言わば無限デジタルでこちらの方が当然上。

だから音が良いのだとは想像にすぎないがいずれにしても無類のアナログ好きには最近のオーディオルネッサンスが極めて心地よい。

フナ釣りに始まり鮒釣りに終わる釣り師の心境なのです(笑)。